日本版SOX法の実施に伴い、上場企業だけでなく中小企業においても内部 統制や会計処理への関心が非常に高まっております。 その中、平成18年3月30日に財団法人財務会計基準機構の企業会計基準 委員会より「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い(実 務対応報告第17号)」(以下、報告と記載)が公表されました。 報告によると、情報サービス業においてはソフトウェアの内容や確認の困難 さ等により不適切な会計処理が指摘されており、収益の認識及び測定に関する 会計処理基準の明確化が目的とされています。
報告書の中では、会計上の論点として大きく3つを取り上げています。
@ソフトウェア取引の収益認識 Aソフトウェア取引の複合取引 Bソフトウェア取引の収益の総額表示
今回のトピックスでは、このうち@とBについてご説明をしたいと思います。
1.ソフトウェア取引の収益認識について
報告の中で「ソフトウェア取引の収益認識」と記載されている点を分かりや すい言葉に置き換えると「いつ売上を計上するか」ということになります。
報告の中で対象とされているソフトウェア取引は、以下の2つです。
@市場販売目的(パッケージ品等)のソフトウェア取引 A受注制作(オーダーメイド品等)のソフトウェア取引
@については、販売を完了した時点、金銭債権等の取得が成立した段階で明 確に収益の計上を認識することが可能です。一方、Aについては、顧客側が、 契約に応じてソフトウェアに一定の機能が有することを確認(検収)した時点 で完了として収益の認識を計上しています。しかし、ソフトウェア開発の段階 では、仕様変更や追加が発生することが度々あるため、現状では検収が完了し た時点で収益を認識する「完成基準」が一般的となっています。 しかしながら、受注制作のソフトウェア取引に関しては、取引の実在性及び 成果物の提供の完了並びに対価の成立にグレーな部分が存在するケースが見受 けられます。報告では、これらのグレーな部分の透明性を高めて明確化するた め「進行基準」に一本化することとしています。なお、現在のところ、平成 21年4月(予定)より進行基準が収益認識の原則となります。 進行基準の導入にあたっては、詳細な見積(積算)が必要になるだけではな く、原価の所属・配分、進捗状況の把握などプロジェクト管理に対して多分な 労力を投入する必要が生じることが予想されます。
コンパッソ税理士法人では、このような原価管理・進捗状況把握・プロジェ クト別粗利の把握に対応した会計システムもご用意してございます。会計処理 との関連づけ等でお困りの際には是非ご相談下さい。
2.ソフトウェア取引の収益の総額表示について
報告の中で記載されている「ソフトウェア取引の収益の総額表示」を簡単な 言葉に置き換えると「いくらで売上を計上するか」ということになります。 ソフトウェア取引においては、内容の多様化や高度性により一取引に複数の 企業が介在する事が多いですが、実際には会社の帳簿上を通過するだけ、若し くは、手数料を収入を差し引いて外注委託先に流すだけというケースが少なく ありません。 つまり上記の様に通常負担すべきさまざまなリスク(瑕疵担保、在庫リスク や信用リスク)を負っていない場合には、売上の金額を総額で記載するのは適 切ではないとされています。
具体的には下記の様な会計処理になるものと予想されます。
設例)契約金額100万円のソフト開発を手数料5%を差し引いて外注先に委託 した場合
現 行)売掛金/売上 100 外注費/買掛金 95 変更後)売掛金/売上(手数料収入) 5
上記の会計処理を適用した場合、売上金額が大幅に減少することも予想されます。 それに伴い、金融機関や取引先に対する信用リスクの問題も付随して発生します ので適用には充分な注意が必要になります。
作成者 渋谷業務2部 税理士 戸田盛通
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